四半世紀を終えて

 

 隣で寝息を立てている夫の気配だけでひどく安心する。周期が久しぶりに来て半日以上眠っていたんじゃないか、それでも睡魔は襲ってくる。素知らぬ顔で肌に溶けていく夜。今の記録を残しておく。

 

 あんなにしにたがりだった私が、25歳になってから、ぱったりとしにたくなくなった。地に足がつく、って、多分こういうことなのだろうなと思う。だって、そう感じるから。何が起きたって、頭が微塵も混乱することがない。心が揺さぶられることがない。琴線に触れて号泣を頻発していた以前の私は、どこに行っちゃったんだろうね。

 

 でも私は、今の自分をすごく気に入っている。

 

 気になった映画を片っ端から見たり、甘いものを手で食べたり、夫にちょっと優しくしたり。着飾ることが大好きだけど、パジャマと部屋着の区別を無くせばもっと身軽でいられるような気もする。朝起きて着替えて軽くお化粧すれば、その日一日、なんとなくちゃんと出来たように感じる。この状態に成った、のか、帰ったのか、正直よく分からない。どっちも言えてる。とにかく、今の私は、今の私がすごく好きだ。